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センニチコウ-変わらない愛を永遠に-

第46章 ヒヤシンス


Sho side

ホテルの部屋番号を伝えて
先に車を降りた

何から話をしようとか…
シュミレーションもできないまま
部屋に着いて…

座る間もなく,呼び鈴がなった

ドアを開けても
目は合わせられなくて
潤も何も言わずに中に入ってきた

気まずい沈黙が
部屋の中に広がる

潤「…翔くん…ご飯は…?」

その沈黙を破ったのは潤で
いつもみたいに俺の飯の心配をしてくれる

翔「松岡くんが作ってくれた…」

潤「……そっか…」

それで会話は終わって
二人で部屋に立ち尽くしたまま動けない

何か…言わなきゃいけないのに…
いざとなるとやっぱり怖くなった


潤「…翔くん…俺…」

しばらくの沈黙のあと、潤が口を開いた

翔「ごめん…」

でも…その言葉の続きを聞きたくなくて…慌ててそれをさえぎった

出てきた言葉は謝罪の言葉

翔「無視して…ごめん…電話とかも…何度も…」

潤「ううん…それは…」

この期に及んで…まだ確信に迫る言葉にするのが怖い

潤と一緒に居たい…

潤の幸せを誰よりも願っているのに…どうしても…離れたくない…

壊したくない…

潤「翔くんっ」

潤が俺の躰を捕まえるように
ギュッと抱きしめてきた

抱きしめ返したくて…
でも…できなくて
自分の躰が強張っていくのがわかる

潤「俺は…翔くんと一緒にいたい…翔くんとずっと一緒に居られれば…それで幸せなんだよ」

耳元で呟く声は不安に揺れていて

その言葉をまっすぐ受け入れられたらどんなにいいだろう…と思う…

翔「でも…俺と居たら…潤の将来を…当たり前に手にできるはずの幸せを,全部潰してしまうことになるんだよ…」

小さな声しか出なかった
聞きたくない…自分の言葉…

潤「そんなのいらない…翔くんがいてくれたらそれでいい…」

俺の何倍もの声で潤が打ち消してくれる

それでも…潤の不安そうな顔も
小栗くんの言葉も俺の頭からは消えなかった

翔「でも…不安だろ…?俺と一緒に居るのは…」

内心…また打ち消してくれることを願ってるズルイ俺…

二人の愛を確かめるみたいに
潤から躰を離していく

潤の部屋からタクシーに乗ったときと同じ

不安なのは潤じゃなくて俺

そして…綺麗ごとを並べながらも
結局…潤を手放すことなんて
できないのかもしれない
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