第6章 アパタイト
Kazunari side
大野さんの家の近くにある
パーキングに車を停めた
和「ここでいい?」
智「うん,ありがとう」
少し不思議な顔をしながらも
ふにゃっと笑って車から降りていく
続いて俺も運転席から降りる
マンションまで歩く大野さんの少し後ろを歩いた
気配に気づいてクルッと振り向く
智「何?」
何も答えずに笑うと
戸惑いつつも笑って
少し身体を傾けながら
「何だよ」と聞いてくる
和「今日は大野さんの家寄る~」
ずんずん歩きながら言ってみる
智「は?何,ダメだって」
和「なんでよ~…あ,わかった手土産持って行けばいい?」
目の前にあるコンビニに入って
お酒とつまみを急いで買った
帰っちゃうかな?とも思ったけど
律儀にコンビニの前で
ちゃんと待ってる
そんな大野さんが好き
和「おまたせ,行こう」
智「ダメだって,ヤダよ」
口では完全拒否だけど
顔はまだ笑ってる
いつも「重いー」って言いながら
俺の背もたれやってくれる時と一緒
だからいけるかも
和「いいからいいから,はい目立つから行きますよ」
大野さんの背中を押して歩いた
大野さんは家に人を呼びたがらない
メンバーも一人も入ったことがない
マンションの前まで来ても
まだウダウダ言う
何がそんなに嫌なんだろ
和「いいでしょ,お願いリーダー」
コンビニの袋を見せながら
甘えた声,上目使いで可愛くおねだり
智「…わかったよ…ちょっとだけだよ」
さすがにコレでダメなら引き下がろうと思ってたから思い切りガッツポーズしたら
「そんなに嬉しいの?」って
またふにゃっと笑った