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FIVE COLOR STORM

第3章 ドルフィン*Dolphin*


〈潤〉

潤「雅紀…」

売店で品出しをしていた雅紀に
潤が声をかけると
雅紀はぱっと明るい笑顔を見せた

雅「潤ちゃんっ」

潤「あっ…あぶないよっ」

抱きついた雅紀の躰を支えられずに
よろけた潤を雅紀が包み込むように抱きしめた

潤「ここ売店っ」

雅「わかってる…一緒に付き添えなくてごめんね」

潤「それはいいけど…ちょっ…わかってないじゃんっ…」

潤は恥ずかしそうにもがくけど
雅紀は躰を離そうとしなかった

潤「家の場所…教えないよ?」

少し頬を膨らませて言う潤に
慌てて雅紀が謝った

雅「やだやだっ…ごめんっ…もうしないからっ…教えて?」

人前で抱きつかれるのは恥ずかしいけど
いざ躰が離れると寂しくなるのは潤も同じで

潤「待ってるから…家で…」

そう言いながら住所の書いた紙を雅紀に手渡した

雅「ありがとうっ!!!」

雅紀は泣きそうになりながら
めいっぱいの笑顔を潤に向けた

潤はその表情にドキドキして
顔が熱くなっていくのを感じていた

雅「潤ちゃん…あとでいっぱいお祝いするからねっ」

潤「ありがと…ぅわっ…」

雅紀が我慢出来ずに再び潤に抱きついた

今度は潤も抵抗しない

雅「潤ちゃん…退院おめでとう…」

潤「ありがとう…」

退院出来るのは嬉しいけど
今までのように会えなくなるのが
2人とも寂しい

その寂しさを埋めるように抱きしめあった

翔「お二人さん…ここ,売店…」

さりげなく近寄ってきた翔の言葉に
2人は慌てて躰を離した

潤「ぁ…じゃぁ…あとでね…」

潤は頬を染めたまま
天使みたいな笑顔を雅紀に向ける

雅「うん…潤ちゃんっ……お誕生日おめでとうっ」

雅紀の笑顔はキラキラと潤を照らした


病院を出ると
潤の新たな一歩が始まる

こんな誕生日も悪くない…
そんな風に思えた

潤はまた夜を待つ

潤を照らしてくれる
大好きな笑顔が来ることを願って…



***END***
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