第1章 チャンパー*Champi*
Masaki side
最初に坊ちゃまにおすすめしたのは
“カシスソーダ”
王道だし…
飲みやすいし…
“あなたは魅力的”
こっそり…俺達からのメッセージも込めた
和「いかがですか?はじめてのお酒の味は…?」
翔「ふふ…美味しい…カクテルってお酒っぽくないから,いっぱい飲めちゃいそう…」
そう言いながら
グラスを傾けたり
氷を鳴らしてみたり…
思いつく限りの大人っぽい仕草をやって見せる坊ちゃまは
最高に可愛らしく…愛おしくて
抱きしめたくなるのを必死でこらえた
坊ちゃまと初めて交わす酒…
坊ちゃまも初めてだけど
俺達も坊ちゃまの前で飲むのは初めてで
気を引き締めてないと…何をしでかすかわからない…
翔「カズのは何?この小さいグラスカッコイイね?」
お酒の力か…少し坊ちゃまの雰囲気がフワッと柔らかくなった気がした
和「あぁ…これは雅紀チョイスで…XYZ…です」
カズは呆れた目でチラッと俺を見てから
坊ちゃまに満面の笑みで答える
翔「XYZ??…変な名前」
そう言いながら
物欲しそうにグラスを見つめていた
和「飲んでみますか?」
翔「いいの??」
嬉しそうに薄い飲み口に口をつけた
酒言葉は“後はない”
俺なりの強い決意を表してみた
和「雅紀には,コレね」
カズに勧められたのは
“アイスブレーカー”
“落ち着け”
…わかってるけどさ…
翔「雅紀のやつスッキリしてて美味しいねっ」
次第に頬が赤らんで
ふわっふわっと零れる笑顔は…
ただ見てるだけで
胸をぎゅっと掴むように
刺さるように
心を昂らせていく…