第1章 チャンパー*Champi*
Kazunari side
翔「お待たせ!」
家の前でタクシーを停めてもらって
雅紀と玄関で待っていると
翔坊っちゃまが嬉しそうに歩いてくる
和「お食事会は楽しめましたか?」
今まで翔坊っちゃまはご家族と
ご友人を招いた誕生日パーティをしていて
だからもう時計は夜の10時をさしている
出しておいた靴を履く坊っちゃまに問いかけた
翔「楽しかったよ
でも雅紀とかずからのプレゼントも楽しみで早めに切り上げてきちゃった」
ちょっと悪戯っぽく笑うその表情は
二十歳になったっていうのがそう見せているのか
昨日までよりどこか大人っぽくなっていて
思わずドキッとした
隣に立つ雅紀をチラリと見ると
頬を軽く染めていて…
でも慌てたように咳払いしてから
雅「では行きましょうか,坊っちゃま」
翔坊っちゃまに微笑いかけて
玄関のドアを開けた
「「改めまして,お誕生日おめでとうございます」」
大人の世界をプレゼントしようと雅紀と決めた
小さいけどオシャレな雰囲気漂う個室バー
初めてのお酒を提供している店で
少しキョロキョロしながらも
大人な振る舞いを意識している翔坊っちゃまは可愛らしくて
でも言うと怒られるからぐっと飲み込んだ
祝いの言葉を送りながら
坊っちゃまの持つグラスにグラスをぶつけると
翔「ありがとう」
店内のキレイな照明の下で
ちょっと照れくさそうに笑ってから
翔「…おいしい」
初めてのカクテルに口をつけて
今度は幸せそうに笑った