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FIVE COLOR STORM

第3章 ドルフィン*Dolphin*


<潤>

潤が入院して5日…
もう痛みも少なくなって
夜もぐっすり眠れるようになった

会社帰りにバイクで事故って運ばれてきた時は
意識がなかったけど

幸い頭も打っていなくて
検査の結果は
全身打撲と足の骨折だけだった

ただ…ちょっと足が複雑に折れていて
簡単な手術が必要と言われ
入院は長くなりそうだった

潤「有給…パーだな…」

いろんなところにツーリングに出かける予定だったのに
今年はそれも難しくなりそうで
潤は思わずため息をついた

夜の服薬が終わって
消灯時間になる

しばらくはベッドの上で携帯をいじくったりしていたけど
いつの間にか潤は眠りに落ちていた

しばらくして
ゆっくりと開く扉

物音を立てないように忍び寄る黒い影があった

カーテンで囲われたベッドの周りは
外の街灯も月明かりも遮断して
殆ど何も見えないくらい真っ暗だった

黒い影が潤のベッドに近づいて
覆いかぶさった

優しく…
ふわっと
唇に影が落ちる

潤は何も気づかず,夢の中

もう一度…
今度は温かいものが唇に触れた

潤「ん……」

そのはっきりとした感触に
潤は夢とうつつを彷徨った

影はさらに深く唇を塞ぐ

ちゅく…ぴちゃ…と水音が響いた

潤「ん…っ…ふ…っ…んん?…っえ…?」

不意に潤が大きな瞳をパチッと開いた

影はビクンと跳ねて
慌てて潤から離れ
カーテンをシャッと開いたまま
部屋を飛び出していった

暗闇に影の温もりだけが残る

潤「…だれ…?」

怖くて起き上がった頃にはもう何もない

潤「いっ…て…」

無理な姿勢で起き上がったから
怪我した躰がズキンと痛んだ

温もりが残る濡れた唇

怖いのに
なぜか優しい感触が
潤のナカに残っていた
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