第3章 3
Kazunari side
智の瞳に光が戻った
今日一日,怯えるように俯いて
笑顔を作ってもそれは影を落としていて
見ている様で
何も映していないような
そんな目をしていた
でも,今はちゃんと前を見て
自分のやるべきことをやろうとしてる
いつものフワッとした笑顔はないけど
瞳の奥に曇りは無い
立ち上がって
ベッドサイドに座る智の前に立ち
智の頭を包むように引き寄せた
智「和也…」
不安そうな声が漏れる
大丈夫…
一緒に歩いて行こう
今迄と同じように
もう不安な想いはさせないから…
俺もちゃんと償うから…
和「傍に居るから…ずっと…
愛してる…智」
言葉になったのはそれだけだった
やっぱり言葉にして伝えるのは苦手
でも…少しでも…伝えたい
だから,精一杯抱きしめた
智の不安が少しでも薄れるように
智が強く歩いて行けるように…
しばらくして,俺の背中に
智の手がまわって
遠慮がちに…
でもしっかりと俺を抱きしめ返してくる
躰を離して顔を見下ろす
潤んだ瞳が俺を見上げていて
ドキンと心臓が跳ねた
智「和也…許してくれるの…?」
智の唇が震えるように動く
もう…許すとか許さないとか
そういう問題じゃない
…けど…
和「許さないよ」
頬を流れる涙を唇で受け止める
和「だから一生,離れないから…」