第2章 GOLDEN WEEK
ちろ②-2 「5人の兄弟」
〈雅紀〉
雅「ちょ,カズそれ俺のっ!」
二つ買ったパインと抹茶のアイスは
両方カズに奪われた
和「これはお迎え料!」
雅「じゃあ一口ちょうだいっ」
和「もー…仕方ないな,一口だけだよ?」
差し出された緑のアイスを頬張ると
和「雅兄の一口でかいんだよっ」
減ったアイスを見てカズが口を尖らせる
…さっきは間接キスで照れてたくせに
ふふっとそれを見ながら歩いていると
ベンチに座った潤と智兄
その前に立っている翔兄が見えてきた
智「ごめんって,翔くん」
翔「もう…ちゃんと行き先言ってよ?」
智「はい」
翔「潤も携帯ちゃんと出てよ?」
潤「はーい…」
少しずつ聞こえてくる会話に
雅「おまたせーっ」
手を振りながら駆け寄ると翔兄の視線がこっちを向く
翔「あっ雅紀!お待たせじゃねーよっ」
お小言が続きそうだったから
雅「ごめんね,翔兄っ」
顔の前で手をパンッと合わせて謝った
今度はちゃんと五人で離れずに
アトラクションを回って
最後には観覧車まで楽しんでから帰路についた
家に入る直前
鍵を出した翔兄とその隣にいたカズが俺らを振り返って
「「あ,後で迷子になったお仕置きだから♡」」
ニヤリと浮かべた笑みに
遊園地で楽しさとは違った熱が
躰の中に流れ込んできた