第28章 みかん
その晩、書斎で今取材してることをまとめていた。
興が乗ってしまって、結構おそくまで掛かりそうだった。
カズヤの部屋に電子辞書を忘れてしまった事を思い出して、そっと二階へ上がった。
電子辞書は大学の頃から使っているものだから、もう文章を書くときには無くてはならないものになってて。
手放せない。
カズヤの部屋から電子辞書を取ると、そっとまた引き返す。
寝室の前を通った時、アノ声が聞こえた。
あ、やっぱり今晩も…
雅紀は今日、泊まりで番組の収録で、さきほど出かけた。
俺は淋しく一人寝の予定だ。
淋しいから、出歯亀してやろうかな…
それに。
ニノとカズヤのむふふなんて…
前からみたかったんだ!!
今まで我慢してたけど。
今日は盛る雅紀もいないから、絶好のチャンスじゃないか!
二階の寝室は横開きのドアなので、そっとスライドさせる。
いきなりカズヤに覆い被さるニノの姿が目に入ってきた。
(むおおおお!なんか興奮するっ)
声が出そうになって、口を押さえた。
「カズヤ…もう…こんな毎晩してたら、俺、死んじゃう…」
「だって…にーの…欲しい…」