第28章 みかん
潤と智くんを招待して、カズヤを紹介しようって話は正月に出てたんだけど、二人がグアムに旅行に行ってしまったから結局流れてて。
次の全員オフの日に招待することになった。
カズヤにとって辛い話もあるから、こうなった経緯は事前に二人には話した。
潤も智くんも神妙な顔をして聞いてくれた。
意外にも今の俺たちの関係性も受け入れてくれて。
正直、軽蔑されるかなと心のどっかでは小さく思ってて。
でも一方では、この二人なら絶対に大丈夫って思ってて。
智くんに殴られた日から、俺達の間には特別な糸みたいなものができてて。
それはちょっとやそっとじゃ切れない糸で。
だからこそ、話せたんだと思うけど。
カズヤのことも理解してくれた。
できることは協力すると、二人は言ってくれて。
涙が出る思いだった。
カズヤには愛してくれる人間が多いほどいい。
これまで貰えなかった愛情をたっぷりもらう権利がある。
だから本当に二人の申し出はありがたかった。
俺が頭を下げると、智くんに頭をはたかれた。
「そんなことするなよ。翔くん」
そういって、嵐のお母さんは笑った。
嵐でもお父さんである俺は、最近、関白失墜しっぱなしだ。