第26章 ホワイト
寒くて寒くて堪らない2月の夜。
珍しく大雪が降って。
次の日はロケにならなくて、昼過ぎには解散になった。
家に帰るとカズヤがキッチンに立っていた。
相葉さんと二人でご飯を作っていた。
その姿は幸せそうで。
暫く見つめてると、翔さんも帰ってきて。
後ろから俺を抱きしめた。
キッチンの二人を一緒に眺めた。
「……そろそろ、分かれて暮らしてもいいかな…?」
「うん…カズヤがいいって言ったらいいんじゃん?」
翔さんの腕は温かくて。
くるっと翔さんの方を向いて、抱きついた。
コートから外の匂いがした。
俺達に気づいたカズヤが一緒に抱きついてきた。
「翔!だめだよ!にーの、独り占めしちゃ!」
「な、なんだよっ…ニノは俺のだからなっ…」
「もう…翔さん、ムキにならないの…」
カズヤの後ろで相葉さんが笑ってる。
俺と目が合うと、投げキスをしてきた。
俺は珍しくそれを受け取ってやった。
ウインクすると、相葉さんは真っ赤になった。
「翔さん、さっきの当分ムリだと思うよ…」
「えっ…マジで?」
「マジで」
後は二人で笑った。
カズヤと相葉さんはわけがわからない、という顔をしていた。
月日は流れていく。
俺達も変わっていく。
将来、カズヤは留学したいと言った。
将来と言わず、すぐに行けばいいのにと言ったら、まだ行けないといった。
なんで”行けない”のか、俺にはよくわかった。
カズヤの欠けているところ。
まだ埋まってないから。
それを俺たちで埋めてやる。
ずっとお前を見てるよ。
カズヤ。
頑張れ。
お前は生きてる。
【END】