第25章 ベルフラワー scene2
部屋を翔さんが眺め渡す。
「どうしたの?」
「いいや…別に?」
そう言ってソファに倒れこんだ。
「あ、今、胃薬もってくるね」
そう言ってキッチンに入った。
冷蔵庫から水を出して、薬を探していると後ろに翔さんが立っていた。
「え?どうしたの?」
何も答えず翔さんは俺を突き飛ばした。
「…え?何…?」
床に倒れた俺を、更に翔さんは押さえつけた。
「やっ…やめてよっ…」
ズボンに手が掛かると、そのまま脱がされた。
「えっ…ちょっと…」
そのまま上を向かされたかと思うと、翔さんにキスされた。
ここは昨日、大野さんが上海に行く前に俺に最後にキスをしてくれた場所で。
大野さんの顔がよぎった。
目を閉じると、鮮明に見えた。
大野さんっ…
翔さんの舌が俺に入ってくる。
口を堅く閉ざしていたら、顎を掴まれて無理やり抉じ開けられた。
上着を脱がされて、手首を縛られた。
何が起こっているのかわからなかった。
声もでなかった。
「潤……俺、潤のこと好きなんだ…」
うっとりとした声で翔さんが言った。