第17章 ヴィンテージ・ワインscene1
「な…んで、帰ってきてくれなかったの…?」
「ごめん…」
「なんで俺のこと、抱きしめてくれなくなったの…?」
「和也、ごめん…」
「なんで俺のこと見てくれなくなったの…?」
「和也、違う…」
「なんで俺のこと一人にしたのぉ…!」
止まらなかった。
涙が溢れてきて、潤の顔がよく見えなくなった。
ぐいっと擦って、精一杯潤の目をみた。
虚ろみたいだった目が、戻ってきてた。
「なんで一緒にいてくれないの…!」
潤の腕をつかんだ。
「淋しかった…!淋しかったぁ…!」
「ごめん…ごめん…和也…」
「バカぁ…潤のバカぁ…!」
「なんで言わないんだよ…なんで言ってくれなかったんだ…」
「言えるわけないだろ!?毎日楽しそうなのに…!」
「それでも言えよ!わかんないんだよ…!」
そういうと潤は俺に激しく腰を打ち付けた。
「ああっ…もうっ…やめろよぉっ…」
「じゃあなんで、あの時ここに帰ってきたんだよ…!」
「え…?」
「お前、この前ひどい風邪引いた時、ここに帰ってきただろ。一人で…」
潤が額の汗を拭って飛ばした。
俺に腰を打ちつけながら更に言う。