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カラフルⅠ【気象系BL小説】

第2章 ワインレッドscene1


次に起きたら朝になっていた。

カーテンの隙間から漏れる光でそれを知った。

雨は上がったようだ。

天気が良さそうでなにより。

潤は俺を抱きしめたまま、安心したように眠っている。

そうだよなあ…俺を看病してる間、コイツは眠れてなかったんだもんな。

そう思って、起こさないようそっと起きだした。

リビングに行き、時計をみると朝の7時だった。

大きく伸びをしたら、痛みが走った。

「っつー!!」

すっかり忘れてた。

じっとしてる分には痛くないから。

潤がずっと冷やしててくれたお陰で、背中は大事にはならなそうだった。

熱も、少し下がったようだ。

テーブルに昨日の夜、潤が注文したデリバリーのパッケージがあった。

開けてみると、見事に俺と潤の好物ばかりだった。

笑いがこみ上げてくる。

アイツの行動原理って、いつもこうだよな…。

自分も、相手も好きなもの。

どっちか一つじゃなくて、全部用意する。

昔から、変わってない。

だからアノ時だって、俺も気持ちよくなれるよう、媚薬だって嘘ついて。

変わってないよなぁ…と思ったところで、俺はひとつの光景を思い出した。



あれはジュニアの頃だったろうか。

リハーサル室に、中学生だった俺が遅れて入って行くと、頬を紅潮させた、まだ小さい潤が飛びついてきた。

そして俺に抱きつくと、こういった。

「翔くん!大好き!」



なんだ。この顔知ってる。
アノ時に、潤が俺を見つめてた顔だ。

昔から何も変わってねえじゃねえか。


食事をつまみながら、俺は沸き上がってくる笑いを抑えることができなかった。

「翔くん?」

後ろに潤が立ってるのも気づかなかった。

「大丈夫?熱は?」

そういうと、俺の額に手を当てた。

「まだ少し高いよ?それ食べたら寝ようね」

そういうと、キッチンに消えていった。

お湯を沸かす音が聞こえる。


いい考えが浮かんだ。

今日一日、アイツを俺の奴隷にしてやる。

そう、俺はまだ許しちゃいないんだ。

考えていると、背後にアイツが立つ気配がした。

振り向きもしないで言ってやる。


「潤、水か飲みたい。お前の口から」


【END】
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