第14章 ショコラscene1
「好き…好きだよぉ…」
うわ言のように雅紀は言い続けた。
俺はもうその言葉を、どう受け止めていいかわからなくて。
ひたすら滑らかに滑る指の感覚に集中した。
「雅紀、ここ女の子みたいになってきたよ?」
なにも考えずにでてきた言葉に、雅紀は驚く反応をした。
「やだぁ…!恥ずかしい」
まるで女性のような恥じらいで。
身体をビクビクさせながら恥じらう。
頬を薄赤く染め、汗にまみれて俺の愛撫を受け入れている。
猛烈にかわいい。
「雅紀、俺のをここに挿れたい?」
「欲しい…翔ちゃんの欲しい」
そう言ってシーツを握りしめる。
さっき、綺麗に張ったシーツはもうぐしゃぐしゃで。
その上で、俺達はいやらしいことをしていて。
しかも男同士で。
背徳的な気分に酷く暴力的になった。
そのまま、俺は起き上がり雅紀の後ろに俺をあてがった。
「行くよ」
そう声をかけると一気に貫いた。
「ああああっ!」
雅紀の背が仰け反る。
握りしめたシーツが、雅紀の身体のほうへ引き寄せられて、大きな渦を描く。
その先には背中を反らせた雅紀がいて、一枚の絵画のようになった。
雅紀ののびのびとした肢体と、浅黒い肌、さらさらの髪。
それは美しい一枚絵だ。