第13章 マロンscene1
次の火曜日、俺と和也はふたりで現場に入った。
たまにはいいだろうってことで。
楽屋につくと、もうリーダーと翔くんは入っていて。
雰囲気が、ガラっと変わってた。
前は感じなかった、絆みたいなものがほんのりと見える。
翔くんの視線の先にはリーダーがいて、リーダーも翔くんを常に見てて。
ラブラブってわけじゃないんだけど、眩しいくらいの愛情が見えて。
俺と和也は入り口で顔を見合わせた。
雅紀が椅子から立ち上がってきて、俺らに囁いた。
「お前らもバレバレだからな」
「!?」
「!?」
雅紀はそのまま楽屋を出ていった。
「ちょ、ちょっ!雅紀!」
「相葉氏!ちょっと!」
慌てて追いかけたが、知らんぷりされて。
「どうしたの?ふたりとも」
翔くんに笑われて。
「なにそんな慌ててるの?」
リーダーにも笑われて。
「あんたのせいだろ!」
二人同時に叫んだ。
リーダーのびっくり顔なんか放っといて、ふたりで床に座り込んだ。
「翔くん、俺らバレバレ?」
「え?うん」
あっさり答えられて脱力して。
「え?なんのこと?」
鈍い人は知らない。
「あー…バレてないと思ってたのになぁ…」
「ああ、お前ら付き合ってるもんな!」
「リーダーもわかってたの?」
「バレバレだよ!」
二人で、改めて脱力した。
もう、これからは隠してやるもんか。
俺は堂々と和也を独占してやる。
この先も、ずっとだ。
【END】