第13章 マロンscene1
「潤っ、まって!」
「いいや、待たない。そこへ手を付け」
「やだぁ~!」
和也はきゃっきゃ笑って逃げる。
酒のせいか、ムードもへったくれもない。
子供みたいな和也を必死で押さえつける。
俺はもう鬼でいい。
子供みたいな和也でもヤってやる。
「うっ…気持ち悪い…」
「えっ!?吐く!?」
「つわりでーす!」
「てめぇ…」
「いつか潤の子供産んであげる~!」
「アホか!てめえはオスだろうが!」
和也は急におとなしくなる。
「ごめん…」
「え?」
「俺、変だ」
「酔っ払ってるからだろ?」
「潤と付き合った頃のこと、思い出してたらさ」
「うん?」
「俺、ずっと潤と一緒にいていいのかなって思って」
「はぁ?何でだよ」
「だって、俺、潤と付き合って、その…女の子の役じゃん?」
「…まさか子供産んでやれないとかいうんじゃないだろうな」
「だってそうじゃん…」
みるみる涙が溢れ出す。
「俺、男だから、潤の子供つくってあげらんないよ…」
そういうと、涙が止まらなくなった。
どんどん和也の顔は涙に濡れていった。