第13章 マロンscene1

「最初ね、美術館行った時。俺はてっきりあの二人、付き合ってると思ってたからさ」


「うん」


俺は全然気づいてなかったけど、話を合わせてみる。


「そう言ったら、違う。俺達は男同士だからって言われて」


「まぁ、な」


「俺達の事、言ってやろうかと思ったんだけどさ」


「なんで言わなかったの？」


「言ったら、大野さんの言い訳になる気がして」


「言い訳？」


「俺達がいるから、自分たちもいいんだって」


「ああ…」


「そうじゃなくて、俺達みたいにきちんと自分たちで、気持ちに気づいて欲しかったんだ」


「うん」


「だからね。俺…」


そういうと、和也はにっこりと笑った。


「俺達と同じ宿題だしたの」


「宿題？」


「一つ目はね、手を握ること」


俺の顔が急激に赤くなるのがわかった。


「お、まえ…覚えてたの？」


「忘れるわけないよ。嬉しかったんだから」


「ばか…忘れろよ…」


ワインのせいばかりじゃなくて、真っ赤になってるのがわかった。


「２つ目はね、デートに行くこと。んで、プレゼント渡すこと」


「お前…なに恥ずかしいこと言ってんだよ…」


そういうと、いたずらっぽく笑った。