第8章 ワインレッドscene2
「ローションなんて、俺の家にはないから、念入りにほぐすんだよ?」
「や、だぁ…もう…」
泣きながら、何かをこらえながら、それでも自分でいやらしいことをしている潤の姿から目が離せなくて。
シャワーの水滴が、潤の白い肌を滑っていく。
その滑らかな背中に水滴が集まって、水流になって流れていく。
淫靡なのに、それはとても美しい光景で。
潤は自分の後ろに初めて触るはずなのに、小さい喘ぎ声を上げていて。
それはまた、俺を煽ってきて。
一本、二本と指が飲み込まれるのを、俺はじっと見ていた。
「翔くん…」
「ん?」
「もう…」
「え?何?」
「もう…大丈夫だから…」
「なに?はっきり言って?」
もうその言葉の意味はわかっているのに、まだ嬲る。
「う…」
涙をこらえきれず、言葉に詰まる潤に、ゾクゾクした。
「俺に、どうして欲しいの?」
「い…入れて…?」
やっとその台詞が潤の口から飛び出すと、俺は立ち上がった。
潤の背後に、また身体を密着させる。
そのまま無言で俺は、潤の中に入った。