• テキストサイズ

カラフルⅠ【気象系BL小説】

第8章 ワインレッドscene2


リビングに入っても、どちらも言葉を発しなかった。

どちらが口火を切るのか、お互い図っている。


あの日、俺は一時的に潤を受け入れたが、その後拒絶した。

だから、ふたりきりになるのはあの日以来で。


多分、こいつはすごく傷ついたと思う。

でも俺のプライドが、こいつを許すことができなくて。

一回、俺に触るのを許してしまったから、こいつの傷は結構深いはずで。

俺に恨み事の一ついいたいだろうが、何も言ってこない。


だから、今も潤は喋れずにいる。


「…翔くん?」

耐え切れなくなった潤が口を開いた。


「俺に、会いたかったって…」

「ああ」

そういうと、潤の目を真っ直ぐみてやった。

「今日、楽しかった…?」

「え?」

「パーティー、楽しかった?」

「え、うん…」

「女の子にキスされて、楽しかった?」

「え?」

「小栗に肩組まれて、楽しそうだったね」

「翔くん、見たの?」

「ふ…やっぱり、潤は女の子のほうがいいんじゃん」

「いや、違う、あれは…」

「それとも、小栗のほうがいい?」

「翔くん!そんなんじゃないよ!」


これじゃただの嫉妬だ…

俺は何を潤に言いたいんだ。


「へぇ…じゃあどんなんだよ?」

「ただの友達だし、そんな気全くない」


潤が、泣きそうな顔で俺を見つめる。
/ 1124ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp