第30章 マロンscene2+green
◇マロンside
雅紀が退院してくる日がきた。
俺と和也はそわそわして落ち着かなかった。
マネージャーが俺の家まで送ってくれることになってる。
ちゃんと俺の家までくるか、不安だった。
玄関の鍵が開いた音が聞こえたら、和也と目を合わせた。
二人で玄関まで出ると、血色の良い雅紀がそこに立っていた。
「ただい、ま…」
照れくさそうに、そう言った。
和也は俺の手を握ると、一緒に雅紀の元に歩み寄った。
「おかえり。相葉さん」
「おかえり。雅紀」
そう言ったら、雅紀が俺たちを抱きしめた。
「また、ここに帰ってきてもいいの…?」
「いいに決まってるだろ…」
「ここが俺たちの家だよ?」
「うん…ありがとう…」
そういって、ほろほろと涙を落とした。
「今日ね、潤がパスタ作ってくれたよ。相葉さんの好きなやつだよ」
「ほんと?嬉しいな…」
涙を拭きながら、雅紀が笑顔になる。
本当に嬉しい時の笑顔。
俺は眼の奥がツーンと痛くなるのを感じた。
「ほら、もう支度できてるから。早く入れよ」
ごまかすように腕を掴んだ。
雅紀は小首をかしげると、俺にむかって艶っぽい笑顔をみせた。
「ありがと、潤」
胸が破裂しそうだった。