第30章 マロンscene2+green
◇マロンside
雅紀が眠りに落ちると、和也もトロトロしだした。
雅紀の肩に頬を預けてだんだん目を閉じていく。
二人の寝顔は本当になんの邪心もない。
子供が折り重なって寝ているようにみえる。
俺はそんな二人を見つめていた。
暫くすると雅紀が寝返りをうって、和也を抱きしめるような格好になった。
背中を見つめていたら、肩甲骨が浮き出ていて。
まるで翼を折られた天使みたいだなと思った。
和也には羽が生えているから、堕天使と天使が抱き合っているような格好になっている。
俺は雅紀の後ろからぎゅっと二人まとめて抱きしめた。
和也の気持ちはわからない。
でも雅紀を癒やしたがっていることだけはわかった。
俺も雅紀を癒やしたい。
そのために、俺達ふたりは雅紀を抱いたのだ。
ふとベッドサイドを見ると写真立てが伏せてある。
そっと手を伸ばして見てみると、松にぃと雅紀が笑顔で写っている写真だった。
俺は思わずそれをまた伏せた。
強烈な罪悪感が沸き上がってきた。
それとともに、怒りも。
雅紀をここまで追いこんだ、松にぃに対しての怒りが。
その怒りは暫く消えなかった。