第29章 ラズベリーscene4
「翔。今日はキミのお父さんの役も、やらせてもらうから…」
そう言って、翔ちゃんへ笑顔を向けた。
「だから、思い切り楽しみなさい。これは皆からの君達へのご褒美だから」
「お父さん…」
翔ちゃんは涙ぐんだ。
俺はその肩を引き寄せた。
「よかったね。翔」
「…うん…」
「頑張ってよかったね…」
「うん…」
父ちゃんが席に戻っていくと、式は始まった。
嵐の皆と松にぃがスタッフになってくれて、式を進行してくれた。
神父さまの言ってることはちんぷんかんぷんだったけど、翔ちゃんがいちいち教えてくれたから、間違えずに済んだ。
仮の指輪を交換するときになって、急に緊張した。
手が少し震えた。
翔ちゃんの手を取ると、翔ちゃんも震えてた。
一緒だ…俺たち同じ気持なんだ。
そう思ったら、気が楽になった。
翔ちゃんの顔を覗きこんだ。
目が合うとにっこり笑った。
翔ちゃんの手の震えが止まった。
俺は指輪をそっと、左手の薬指に嵌めた。
翔ちゃんも俺の左手の薬指に、指輪を嵌めてくれた。
誓いのキスは照れくさかった。
キスが終わったら、皆拍手してくれて。
そのまま外に出たら、メンバーがフラワーシャワーしてくれて。
綺麗な花びらが空を舞っていた。
ああ…綺麗だ。