第29章 ラズベリーscene4

「お前の教育が悪いから、翔があんな風になったんだろう！」


「父さんっ！違うよ！」


翔ちゃんはお父さんとお母さんの間に割って入った。


「そういうんじゃないって、この前も説明しただろ！？」


「同じじゃないか。ホモやゲイと何が違うんだ。お前のやっていることは」


ぐっと翔ちゃんが詰まった。


「すいません…お父さん…」


「お前にお父さんなどと呼ばれたくない！」


「あ、すいません…」


でもなぜか俺は全然へこたれなくて。


「櫻井さん…あの、お母さんに八つ当たりするのは違うと思います」


お父さんはぐっと詰まった。


「これは俺たちの間での感情ですから、俺は櫻井さんに惚れたりしませんし」


「なっ…何を言っているんだ…！」


「翔さんも一緒です。俺のとうちゃんに翔さんは惚れたりしません。俺ら、ホモやゲイじゃないですから」


「な、な…何を言っているんだ！大野君！」


「いえ、だから誤解なさっているようなので、事実を…」


だれか知らない人が俺に乗り移っているようだった。


次から次へと思っていたことが言葉になって出てくる。


「ここじゃなんですから、ちゃんと座って話しませんか？」


俺の身体から力が湧き出ていた。


お父さんはしぶしぶ応接室へ入ってきた。