第29章 ラズベリーscene4
「智くん、言ってもいいんじゃない?」
翔ちゃんがいつの間にか傍にきてた。
「俺たち、別れさせようとされてるの」
「えっ!?誰によ?」
ニノが翔さんに噛み付くように聞く。
「俺の父さん」
シーンとした。
だから…こんな空気になるから言えなかったんだよ…
「そ、れは…また…」
ニノが口を押さえた。
「翔くん、なんでそんな大事になってんの…?」
松潤がニノの肩を抱きながら言う。
「俺に見合いの話があってさ。そこからまあずるずると…」
「なんでだよ…二人は好き合ってるのに…!」
相葉ちゃんは目に涙まで溜めてる。
「相葉ちゃん…」
俺は思わず相葉ちゃんの肩を抱いた。
「ごめん、泣かないで?」
「リーダー…」
ごほんと翔ちゃんが咳をした。
あ、え?
だめ?
翔ちゃんを見ると、しぶしぶ頷いた。
相葉ちゃんをきゅっと抱きしめた。
「ごめんね…こんな風になるから言えなかったんだ…」
「リーダー…」
「もう…あんた達は…」
ニノの声が涙声で。
松潤も上を向いてる。
俺達は、それぞれが直面しそうな問題にぶつかっているんだ。
だから、他人ごとじゃないんだろう。