第2章 4月
海さんと夜久さんで話し合って、とりあえず朝練は無しという事になった。
自由参加の朝練だが、中止の連絡は全部員へ一斉送信される。つまりこれから、鉄朗の寝坊はメールによって2,3年生全員に知れ渡るのだ。
(鉄朗…不憫)
悪戯っ子の顔をした夜久さんとそれを無表情で見守る海さん。
二人がメールを作成している間、少しぬるくなったココアを飲みながら、ねぼすけを憐れんだ。
朝練は無くなったのだが、ジャージ姿の二人は部室で制服に着替える必要がある為、このまま鉄朗を待つとの事。
私は今日も作ってきた鉄朗のお弁当を、同じクラスの夜久さんに預けた。
「…あ、あの、…海、さん」
自分を指さし、俺?という仕草をする。
言いそびれていた言葉をゆっくりと、口にする。
「こ、ココアと、いろいろ……ありがとう、ござい…ます」
海さんはまた仏の笑顔で、
「よろしく頼むよ、マネージャー」
と言葉をくれた。
待たされた結果、朝練も中止だったけど。
海さんと話せて良かったと思い、私は教室に向かった。