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跡部様のクラスに魔王様(Not比喩)が転校してきました。

第5章 魔すら魅了する其の名は――!


 転校初日の魔王が、男子テニス部のマネージャーに加わったその日――魔王の魔法によってあっという間に洗濯が終わりましたから、マネージャー達はすぐにドリンク作りに取り掛かることができました。
「これも魔法を使えば1人分ずつ作らずとも一気に粉と水を混ぜられるぞ?」
 首を傾げる魔王に、「そうはいかないんですよ」と説明する水戸さんの口調も、ドリンクを作りながらそれを見守る他のマネージャー達の視線も、随分と柔らかなものとなっております。
「人によって、どのくらいの濃さのドリンクがいいって違うんです」
「ほう……つまり汝らは、200人のこのどりんくとやらを、全て特注で作っているということか」
「そうですよ。流石に覚えるのは大変ですから、誰の分がどのくらい粉を混ぜるかってメモしてありますけどね」
 心から感心した様子で、魔王は水戸さんの説明に頷いております。
「てにすを修める者は、随分と丁重に扱われているのだな」
「皆さん、毎日頑張って練習してますからね。マネージャーとしてはそれを支えるのが仕事でもありますし、それが嬉しいからマネージャーやってるんですから」
「確かに兵站や補給は大切よな、補給部隊に従事する兵士達が誇りを持って職務を果たすのは軍隊の維持に関わる。それに、陣中食の味は士気を左右するものだ」
 誠、魔王らしい納得の仕方でございます。
「平部員まで1人1人を大事にするからこそ、熾烈なレギュラー争いはあっても不和にはならないんだと思いますし」
「成程、精鋭部隊に入るには競争率が高くとも、全体の待遇を良くすれば不満を抑えることは可能よな」
「話が早くて助かります」
 なるほどわかりません、とにこにこしながらマネージャーの1人が呟き、他の少女達も微笑ましげに水戸さんと魔王の会話を見つめながら頷いておりました。その間にもボトルが振られ、200人分のドリンクが次々に作られ――完成したボトルをケースに入れて、それぞれ今日の担当の部員達に手渡しにとマネージャー達が向かってゆきます。
「ゴーディスヴェインさんは私と一緒に来て下さいね」
「うむ、任せろ」
 尊大に頷く魔王にくすと笑って、水戸さんはボトルの入ったケースを手にコートへと向かうのでございました。











 ――ピピ……カシャリ。
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