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【おそ松さん】マフィア松でスパダリ長兄松に溺愛されるだけ

第4章 イタリア行き


「まだ車は来てないな……」

「到着時間は報告してたんでしょ?」

「そのはずなんだが……。なにか、嫌な予感がする」

「――そうだね」

私は、バイクの後ろに乗ってるんだけど、ラッキーなことにこのバイクは後ろ側に掴む所が用意された乗りやすいバイク。

この捕まる所があることで、運転手と一緒に体を動かさなくてもいいタイプだから、慣れてない人でも乗りやすい。

「――出発するぜ、マイハニー。しっかり掴まっとけよ」

「いつでもどうぞ」

どうやら、発信機があるみたいで、車から見えない速度で発信機を追う仕組みらしい。

だから、ある程度離れてからバイクは動き出した。

車通の多い高速道路を走って数時間。

下道に降りたと思えば、数時間走り続け、だんだん人気のない道に差し掛かる。

しかも、暗い夜道。

「マイハニー、寒くはないか?」

「ううん、大丈夫」

「ならよかった」

本音を言えば寒いけど、降りれば寒くなくなるし大丈夫。

そして、明らかに闇取引に使われそうな無人の工場が見えてきた。

――目的地は、あそこか。

「ちょっと待っててくれ」

そう言うと、カラ松さんはバイクを止めて私だけ残して、先に行ってしまう。

こういう場で取り残されるのは、危ないんだけどなぁ。

私は、近くにあったドラム缶の中に隠れた。

すると、数秒後に銃の発砲音が聞こえてくる。

――もしかすると、見つかるのでは?

嫌な汗が、背中を垂れる。

その時、人の声が聞こえてきた。

「いいか、こっち来たら、コイツの頭がミンチになるぜ!」

煩いくらい、心臓の音が聞こえてくる。

見つからないように、そっと縮こまって息を潜めた。

遠くから、銃の発砲音と一緒に、人が殴られる音、そして人のうめき声が聞こえる。

その時、聞き覚えのある声で、嫌な汗が流れた。

――もしかして、負けてる?

私は、ドラム缶の穴から外を覗き見る。

すると、目の前には見慣れた顔の人が、銃を突き付けられていた。

黄色いシャツを着た、カラ松さんやおそ松さんにそっくりな人。

敵は、二人。

人質に取ってる男と、それを援護する人の二人。

――私が持つ銃に入ってる弾は、三発。

ドラム缶の穴は二つあるけど、外して人質を殺したら……。
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