第7章 動き出す、歯車
自販機で缶コーヒーを買って、公園のベンチに座る。平日だからか、この時間は周りにほとんど人がいない。
コーヒーを飲んで、ひと息つく。いい天気だなぁ。
こうして空を見上げると、ここが都会だと忘れそうになる。
…お母さんと…お父さん。今頃どうしてるかな。
就職先は決まったけれど、あえてまだ連絡はしていない。働き始めて給料がもらえるようになるまでは、多分何を言っても聞く耳持たずだろうし。
はぁ…人生って厳しい。
ブーブーブー…
電話が鳴ってる。トド松くんかな?
他にも連絡が来る可能性のある人はいるのに、真っ先に彼らを思い浮かべてしまう辺り、私にとって彼らは余程親しい友人にランクアップしているらしい。
若干の期待を込めながら、スマホを取り出す。
けれど、その期待は脆くも崩れ去った。