第15章 気まぐれな猫は、恋を知る【一松】
【一松side】
絵菜を家に送り届けてからの帰り道。俺はすぐ自宅には帰らずに、公園のベンチに座ってぼーっとしていた。
遠くでカラスの鳴き声がする。夕暮れ時って、なんか寂しい気持ちになるよな…。
それにしても、あいつ…あのスキンシップの過剰さはどうにかするべきだ、心臓に悪い。
いくら心配したからって、普通付き合ってもいない男に抱きついたりするか?それに躊躇いなく髪まで拭いてきて…お前は俺のオカンか。
距離感が掴めない。近付いたと思ったら離れていくし、遠くにいると思ったら一気に距離を詰めてくる。
あいつは俺を気まぐれな猫みたいな奴とか思ってそうだけど、俺からすればお前の方がよっぽど扱いに困る。
…他人と関わるのが苦手な俺が、こんなにも真剣に悩むなんて。
絵菜…お前ってほんと、天然で、ドがつくお人好しで、ゴミの俺にも優しくて…
罪作りな女だよ、全く。