第15章 気まぐれな猫は、恋を知る【一松】
【絵菜side】
午後1時近く。いつもより遅い時間に家を出る。
なんだかんだ、6つ子のみんなとデートするようになって、今日ではや4日目。もう一種の習慣のようになってしまっている。
元は私からみんなへのお礼のはずだったんだけれど、結局一番楽しんでるのは私なんじゃないだろうか。でも、みんなも最後には楽しかったって言ってくれてるし、お礼になっていると信じたい。
さて、今日は誰かな?MINEでは待ち合わせ場所と時間が指定されただけなんだよね。
またここまで迎えに来てくれるみたいだけど、ちょっと早く出すぎちゃったかな。1時まであと15分もある。
アパートの門を出ると、塀に寄り掛かっている人物と目が合った。
「……あ」
「一松くん!」
ちょっと違和感があるけど、間違いない、一松くんだ。
彼は私の姿を認めると、ゆっくりと寄ってくる。
「…早いね。まだ時間前だけど」
「そんな、一松くんこそ!いつから来てたの?」
「今来たばっかだから、気にしなくていいよ」
ふいっと顔を逸らされる。それにしても、なんだろう、この違和感。
ぱっと見はもちろん一松くんだって分かるんだけど…あ!