第2章 女神、再会する
シャンス「なぁ、神の目を持つ人間。こっち来い」
急に手招きされた事で、カラ松は焦って目をパチクリさせた。
ヴィクトワール「カラ松さんを呼んで何を?」
シャンス「いいからいいから、トイレ行くとでも言っとけ」
カラ松は、頷くと「トイレ」と一言言って席を立つ。
そして、シャンスに導かれるまま歩き出した。
はた坊「行ってらっしゃいだじょー。二人と仲良くしてほしいじょー」
そして、外へ出ると使用人から捕まりそうになりつつも、神お得意のポルターガイストからのお茶準備で、その場を切り抜けていく。
そして、辿り着いたのは広い中庭。
シャンス「当分、ここには人が来ないから安心していいぞ」
ヴィクトワール「ここで、何を……?」
シャンス「何って、姉ちゃん仕事決めるんだよ」
カラ松「仕事先……?」
話についていけず、首をかしげるカラ松。
でも、双子神はお構い無しに話をすすめる。
ヴィクトワール「私、女性の人が希望でして」
シャンス「そんな事言ってられんの? 姉ちゃんの住処ってそこにある小さな石ころだよ? 一生決まるの無理だから」
そう、実は神とて自分で住処を決められるわけじゃない。
そのせいで、人に気づかれずに神生(かみせい)を終えた神のほうが、多いのだ。
二人の話を聞き、カラ松は辺りをキョロキョロと見渡したが、それらしい石ころは見つけられない。
そう、人の目じゃ見つけられないほど小さい石ころに住んでいるのだ。
シャンス「よし、カラ松。俺の言う通りに叫べ」
カラ松「え、ちょ……」
シャンス「言いから、言う通りにしろ」
こうして、シャンスとヴィクトワールは主予定のカラ松の意思を無視して、守護を始めた。
魔方陣を作り、ヴィクトワールの住処を中心に置いた所で、カラ松の目に輝きが見えてくる。
カラ松「この俺に新しい力が宿るのか……!! フッ、いいだろう、引き受けた!このゆ」
シャンス「はい、いっきまーす。復唱」