第3章 私ができること
ビルの明かりは所々点いている。窓ガラスの割れた破片が地面に散らばっている。空は今にも雨が降りそうだ。
(あれ?どこかで...)
思い出せない。でもどこかで見たことがある気がする。しかし、日本でこんな物騒な街は見たことあるはずが...
「う、嘘だ...」
今日の朝、電車の中で見た夢だ。あれと同じ風景。私は信じられなかった。いや、信じたくなかった。
(じゃあ、この後私は死ぬの!?そんなの嫌!)
助けると約束したのに、こんなところで死ぬなんて。絶望が私を襲った。今まであんなに平和に過ごしてきたのに。こんな風に私の人生は終わってしまうの?私はなんのために生きてきたの?行き場のない思いが頭の中を駆け巡る。そんな混乱の中、ふと目を上げた。
「何か...走ってくる...」
それは怪我をした男性だった。皮膚が火傷をした跡のようになっている。
(これもだ...!)
タイムリミットが近づいてくる。死のタイムリミットが。私はどうしようもなくなった。逃げたいのに、なぜか脚が動かなくなっている。疲れてしまったのか、それか恐怖のせいか。棒のようになっていて、二度と踏み出すことはできない。
「誰か...助けて...」
しかし、この声は誰にも届かない。自然と涙が溢れてきた。