• テキストサイズ

【HQ】春が始まる。〜After Story 〜

第1章 『Trade 2→9 』影山




「?影山くん………?」



気がつけば俺はの左手首を掴んでいた。
無意識の行動だったけど、俺はその左手に、指輪がないかを確認してしまう。



意外なことにその指には、光るものはなかった。



「お前、このあと予定でもあんのか。」



「え?ううん、そんな急ぎの予定は別に。ただ、帰って少しだけ仕事しようかなと思ってたくらい。」



「そうか………。」



の手を離さないまま、俺は言う。
こんな、探りを入れるみたいな聞き方、本当はしたくねえけど。



自分でも驚くくらい、俺は傷つくことに臆病になっていた。



「菅原さんは………元気かよ。」



俺の言葉を聞いた直後、は少しだけ俯いて口を開いた。



「あー……元気…なんじゃないかな。ごめん、私分かんないや。」



「え……」



「別れちゃったの。もう、一年くらい前になるかな。」



「そう、だったのか……」



「あ、誤解しないでね!孝く……いや、菅原先輩が悪いとかそんなんじゃないから!」



は何故か、慌てて俺にフォローを入れてくる。



でもそんな事も気にならないくらい、俺は動揺していた。



こいつは、もう菅原さんのものじゃない。
それも1年も前から。



それがどうにも信じられなくて、まともな反応を返せなかった。



二人が別れるなんて、ありえないことだと思っていた。


/ 37ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp