第19章 J'ai de la fièvre. 仏
「あー…頭……痛てぇ…」
元々身体は強い方では無いけど、兄貴程弱くはなかった。
喘息だって煙草吸ってても発作が出るのは数年にあるかないか位だし、自分でも喘息持ってた事忘れるくらいだし。
生理痛はまあ…例外として、結論から言うと身体は丈夫なほうだと思う。
だからこそ体調を崩した時の対応が分からないし今リアルタイムで頭痛に悩んでいる最中なのにも関わらず、…どうすればいいの、ほんとこれ。
頭の中からハンマーで叩かれる様な痛みに耐え切れず、せっかく珍しく出席した授業も抜けてしまい俺の単位は一体どうなるのか別の意味で担任も頭を抱えるハメになった。
そして、現在1階の保健室を目指し階段を降りている所なのだがどうにも身体が言う事を聞かずに足を引きずるような形で降りている。
(これほかのヤツが見たら変だと思われるだろ…特に悪友らへんが見たら笑いもんにされんだろう)
想像してみると案外本当にありそうなワンシーンに悪寒を感じて早く保健室に向かおうと決心した。
「…さみぃ…ダルい、しね…」
さほど遠くないはずの距離なのに、おかしいくらいに遠く感じるのはきっとどこかの紅魔館のメイド長が時間操作してるせいだと思いたい。きっとそうだ。
まとわりつくような悪寒と異様なダルさに自分の身体は耐えきれなくなったみたいで、がくんとその場に倒れこんでしまった。
(っざけんなよ…ここじゃ通りかかった奴に見られるだろ…)
ズキン、ズキン
心拍数と同じ様な律動を繰り返す痛み。
ボーッとした脳内を醒ますにはちょうどいいのかもしれないけど、今の俺にとってはありがた迷惑を通り越してイライラを募らせるだけだった。
「…はぁ」
座ってるのにフラフラと左右に揺れる自分の身体は自分のものだと思えないくらい軽く感じて、最終的には壁に倒れるようにもたれかかった。
この時期の廊下はいい感じに冷えてて、火照った左頬を冷ましてくれる気がした。