第16章 それだけだったのに。 普
※まどマギパロ&拾い子設定。
ここは何処だ?
目を覚ますと、辺り一面右も左もわからない黒一色だった。
優れた五感も役に立たずに、重い体を引きずってうろちょろと移動していると足に何かが当たった。
「…?」
しゃがみ、手でそれを確認してもそれっぽいモノは見当がつかない。
とりあえずそのまま一旦放置する事にして、再びそこら辺を動くことにした。
何処かも分からない場所で、光も人も、建物も無いなんてまるで夢みたいだ。
ふらつく足でしばらく歩いていくと、次第に思考も安定するようになって自分は魔女の結界の中にいる事も思い出した。
「…あ、」
ベルトのバックル部分のソウルジェムをいつもの卵形に戻し、ライト代わりにすれば少しはマシになるかもしれない。
早速、バックル部分に手を添えて形状を戻すとジャスパーグリーンの光が狭い範囲で放たれた。
しかし、視界が少々ひらけてほっとしたのもつかの間、俺は惨劇を目の当たりにした。
「…っいやああああッッ!!?」
目の前の惨劇、ジャスパーグリーンの光に照らされて俺の足元に横たわっているのはついこの前まで一緒に戦っていた友人と幼なじみだった。
思わず叫べば、鉄の匂いと死体独特の匂いが鼻いっぱいに広がってその場に胃の中のものを吐き出した。
よろけて床に尻をつくと、びちゃっとしたなにかを踏んだ。
恐る恐る下を見ると、鉄の臭いの正体である血液が広がっていた。