• テキストサイズ

【ヘタリア】Jasper Green【短編集】

第12章  до свидания 露




──────────────
──────




「……はぁ、まいったな」


断られるのは重々承知してたけど、まさかああなるなんて思わなかった。

ほんと、邪魔だなあ。ギルベルトくんも僕の心、も。
こんなだと、こっちが気が狂いそう。


「…駄目だよ、僕。また奪うようなことしちゃ」


自分に言い聞かせるように胸を思い切り叩く。

ズシン、と鈍い痛み。

でも僕自分に弱いからなー、ずっと見張っててもらわないといけないよね。

それも、ずっっっと僕の傍に居てくれる酔狂な子じゃないと。


「そうだよね、ナターリヤ」


姿の見えない…いや、姿を見せない彼女に向かって名を叫ぶ。

大丈夫、僕が名前を呼べば何処からだって出てくるよ。


「呼んだかしら、兄さん」


ほら、何処からでて来たの。

コツンコツンとヒールを鳴らしながら姿を現した僕の妹。

ほんと、黙ってれば綺麗なのに。


「今までの、全部聞いてたよね」

「……」

「盗み聞きは良くないよ、それにかっこ悪い所見られちゃったし」

「兄さんはいつでも格好良いわ、それにちゃんと退いたじゃない」

「あれは…彼女の口から拒否されるのが怖かっただけだよ」

「…兄さん」


ナターリヤが僕の背中に抱きついてきた。

さっきまであんな遠くにいたのに。


「私は兄さんの傍に居ます…いつか世界が滅ぶ、その時まで、ナターリヤは…貴方の傍に…」

「…うん、ありがとね」


彼女なら、暴走しようとする僕を止められるはず。

それから、姉さんも入れば十人力…いや、百人力だね。


「…あったかいや」


いつか、その時まで…до свидания(ダスビダーニャ)

END
/ 146ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp