第3章 Jealousy Bomb 英
「あっれ、ローナちゃんじゃないの」
俺の言い訳に声を上乗せした大人っぽい声音が背後から聞こえた。
振り返ると派手な格好をした髭面。長くてウザったいブロンドのサラサラな髪を風に揺らせながら俺に柔らかく微笑んだ。
「2日ぶりだね、Bonjour.」
「…fuck. you are bigheaded!
(うるぼれてんなよ死ね!!)」
「なんで?!」
お得意の白目で突然の英語にびっくりする髭。
意味がわかって俺を注意する為、去ろうとする俺の手を掴む帝国様の手を振り払い、最後の捨て台詞を吐く。
「 You guys are all morons!!
(てめーら全員間抜け野郎だ!!) 」
最後にあっかんべをして走る、走る。
もう、誰もいない所に行きたくて。
自分より優れている兄が羨ましくて仕方無かったのは今に始まった事じゃないけど、今だけは何処かに逃げたかった。
苦手。
何でも一人で抱え込むアイツが、誰よりも不器用で誰よりも傷つきやすいアイツが。
誰よりも物事に熱心になるアイツが、そんで最高の成果を叩き出すアイツが。
誰よりも愛されてるのに誰よりも愛されることを願うアイツが。
end