第11章 PagophagiaⅡ 英?
「俺なんかが言えないけど、めんどくさい性格のあいつだけどさ、側にいてやって」
そんなの言われなくても、元からそのつもり。
そんなめんどくさい性格だから、最後は孤立して、大好きで、愛しつづけてた弟に負けて、独立された。
そんな可哀想な兄のそばに居てやれんのは、幼馴染みのお前でもない、俺。
「そうだな、好きなのにわざと敵の方に着いた誰かさんとは違って、側に居てやれんのは俺だけだな」
「俺の事は掘り返さないで…。
でもローナちゃん、あいつのために言葉は選んでね?ローナちゃんグサグサと思ったこと言っちゃうんだから」
「ふん、本当のこと言わないと伝わることも伝わんねぇよ」
「…兄貴に似たのかなぁ、じゃあ、よろしくね」
ため息をつきながら帰るそいつを横目で確認してから、扉を開けて兄の部屋に向かう。
最後に家に帰ってきたのは数日前だった。その日は掃除もして、随分前綺麗になったものだった。
が、今の家の中は一変、荒れに荒れた状態に変わっていた。
皿は豪快に割れ散らばれ、いい値段のする時計台や棚も結構な姿になっている。
その荒れ具合をみて頭を抱えながら歩いていると、ある物を発見した。
無惨に切り刻まれた、兵隊人形の出来損ないたち。中には折られたものもある。
「っ…!!」
それを見た瞬間、俺の心は黒い禍々しい何かに侵食された気がした。
気がつけば、足は2階のあいつの部屋へ向かっている。
今日まで黙ってきたけどいい加減我慢の限界かもしれない。
その限界が、何に対しての限界なのか、自分でも分からないけど
end