第25章 お説教 墺
「お待ちなさいローナ!!」
廊下に芯の通った声が響きわたる。
その場にいたクラスメイトやその他の奴らがびっくりした様子で俺達の方を振り返った。
そりゃびっくりするよな…いつもは上品ぶってるご貴族様が怒りのあまり叫ぶんだから。
ん?いつものことじゃね?
とりあえず呼ばれたから立ち止まると、ポコポコと怒った様子のローデリヒがこちらに息を切らしながら歩いてきた。
左腕には“風紀委員”と書かれた緑の腕章。
そう、ローデリヒはこの学校の風紀委員会会長なのだ。
…嫌な予感しかしない。
俺がローデリヒに呼び止められる時は大抵生徒指導とか追試のお知らせとか。
つまり毎日追いかけられてるのだ。だからといって直す気はないけど。
予想する。開口一番「このお馬鹿さんが!」って俺に言う…絶対。
乱れた息を整え、一息つくと…
「このお馬鹿さんが!!」
…な?言ったろ?
こいつが俺を発見するとだいたいこんな展開になる。
「…なんだよ」
「服の着方がだらしないと数日前にも言ったでしょう!?」
「動きやすいんだよ、良いだろ?」
「よくありません!!3個もボタンを開けて…最低第2ボタンまでと言ったのにも関わらず…お馬鹿さん!」
「いいじゃんタンクトップ着てんだから」
「いけません!!」
テキパキとボタンをとめてゆるく締めたというよりはぶら下げた状態のネクタイを上まで締め上げる。