第22章 Don't bite… 普 ※微裏
「おいおい、世界一キスが上手い国出身の癖に勿体ぶってんじゃねぇよ」
「うっせ」
「お前がねちっこいからだろ」
「うっせ、あとお前がっついてるみたいじゃなくてがっついてんだよ」
「っ~…ばーかばーか!!」
なんとでもいえ。
紳士はがっついたりなんかしない。
本当に上手なキスはムードを大事にしつつ…
「って、てめぇ聞いてんのかっ…」
「ふん、」
うるさい彼の後頭部を力強く寄せて、さっきみたいに何度か触れるだけの軽いキスをする。
それから角度を変えながら上唇に甘噛み、続いて下唇にも甘噛み。
噛む度に反応するギルが面白くてしつこいくらいの口づけをしていると腹の肉を力いっぱい抓られた。
その腕を退かして肩を押してやると面白いくらい簡単に倒れて、ソファーのスプリングが軋めいた。
倒れたギルの腹の上に乗り、唖然としていたせいで開いている口に自分の口を被せた。
隙間から漏れる吐息と酸欠なりかけで呻くような声が
俺の聴覚を刺激する。
「ん、ん…はっ…」
酸素が欲しくて口を開いた瞬間を見計らって赤くて長い舌と自分の舌を絡ませる。
ぴちゃぴちゃ、水音が卑猥で少し下半身が疼いた気がした、きっと気のせい。
「…何の真似だよ…」
「別に」
「ふん、女のくせに…」
それは禁句、言わない約束だっただろ。
“女のくせに”なんて言葉は俺にとっては地雷みたいなもので、一番言われたくないし聞きたくもない言葉なのに。
心に黒いどんよりとしたものを感じた。
多分顔に出てたんだと思う。ギルが言葉を発した後に自分で気付き、申し訳無さそうに謝った。
「…わりぃ、照れてた」
首に腕を回してやんちゃに笑ったのを見れば、単純にも俺の心は晴れかけた。
「このままお前が上になるか?それとも下がいいか?」
「……」
「んだよ、怒ってんのか?」
「おう、」
「悪かったよ」
「じゃあケツの穴開発させろ。」
本当は許してるけど、どうもビビった時の反応が良かったので本気で狙おうと思ってしまった。多分末期だな。
顔を血色悪くして首を横に振ってるギルを無視してカチャカチャとベルトのバックルをいじる。
「待て!俺様そんな趣味ねーから!!寧ろ逆!!」
「怒ってんのわかんねぇの?」
「ほんっと、むり、まじで…っひ、ぃ…」
End