第22章 Don't bite… 普 ※微裏
「…あのさ、ギル」
「ん、」
何も予定のなかった休日。
何もしないのは退屈過ぎて死にそうになり、事前の連絡もなくギルベルトの家におしかけた。
やることのないニートのおかげで買い揃えた沢山あるゲームの中から適当なものを選び、今それをやっている最中である。
ソファーに背を預けゲーム機のコントローラーを操作している途中、横から抱きついてきたと思えば突然うなじを噛まれた。
元からこいつに噛みグセがある事は知っていたけれど、こうも突然噛まれるとびっくりするのは当たり前だろう。
「ちょ、こそばゆい」
「ん、」
「聞いてんのかよ」
最初は軽い甘噛みだったものが日に日に肉を食いちぎるような強さになっていくのに気がついたのはついこの前で、
噛まれた翌朝に鏡を見ると俺の首は歯形で赤く腫れていた。
その痕が残っていることに少し嬉しいと思ってしまうのは、俺が末期だからかどうなのか。
「オラオラ、コンピューターエネミーに負けるほど俺は弱くねぇぜー」
もう当たり前のようになってしまった事に少し複雑な気持ちになりつつ、次々と現れる敵を攻撃するのに集中していた。
その時、
「っっ…!」
右耳に生暖かいねっとりとした感触。
ギルの舌だとわかり、すぐさま引っぱたこうとして後ろを向くと、顎を持たれそのまま唇を奪われた。
「んっ…、」
キスが苦手な国1位なだけあって、何度口づけしてもやっぱり不器用でぎこちなくて。
それでもがんばってちゅっちゅとやっている様子を見ているととても愛おしく思えたりするから、こいつのキスは嫌いじゃない。
しばらくキスを続けていると、ギルの顔が離れた。
「俺様ばっかがっついてるみてぇで嫌だ、」
「…キスしてこいと、」
「おう」
やれやれと溜息をつきながら、偉そうなギルの頬に1回キスする。
その後に少し湿った唇に軽いキス。何度かゆっくり相手の唇に触れているともどかしいのか、不満そうな顔で俺をみつめてくる。