第9章 クロ猫@黒尾鉄朗
…なんて言われて部室から閉め出された。
しかし、校門まで来てみたものの、そこに美心の姿はなかった。
文化部に所属する美心とは、先程3人に言った通り、この所一緒に帰れていなかった。
時々連絡は取るのだが、やはり直接会うのとは違う。
会って、彼女に触れていたい。生の声を聴いていたい。
「美心…」
ニャア…とネコの鳴き声がした。すぐ近くにいるのか、まるで自分よ口から出た様に耳に響いた。
「…ニャア」
…ニャア?
…俺、今“ニャア”って言ったか?
…そういえば、酷く視界が低くなった様な気も……。
「ニャッ⁉︎」
俺は水溜りに映った自分を見て驚愕した。
「ニャンニャニャニャニャー‼︎⁇(そんなバカなー‼︎⁇)」
そこに居たのは、黒猫姿で鳴き叫ぶ自分だったのだ。
自分の左手を見ると、それはピンクの肉球と化している。
なんだよコレ。左の前足じゃねーか。左手じゃねぇよ、こんなの!
こんなんじゃバレー出来ねえよ!
…いや、こういう時こそ、
美心の頭を撫でてやれない……なんて思わなきゃな。
美心…会いてえ。
水溜りの前で項垂れていると、近くから「っく…う…と嗚咽が聞こえてきた。