第2章 青林檎@及川徹
「あっ、えっと…おいかわ、くん?」
覚えててくれてた!やばい嬉しすぎる…。
「そう!ところでどうしたの?教室入れば?」
上手く話せてる。大丈夫。…ただ、…。
「うーん…及川くんなら、いいかな」
嫌な予感がするのは、俺の気のせいかな?
「あのね、私…………」
——頬を染め、白雪姫は確かにそう言った。
「……そうなんだ。…そっか、それは緊張するね〜」
軽く、軽く、できるだけ、軽く……。
「——がんばれ」
「…うん、ありがとう」
彼女は小さく頷き、またひとつ深呼吸して、教室へと姿を消した。
いつもの通り、ちょっとけだるい放課後の空気が戻る。もう、俺の目の前に彼女はいない。
「…はは」
言える訳がなかった。
『君が好きだ』なんて。『俺を選んで』なんて。
だから、せめて応援の言葉くらいは送りたかったんだ。
美しく儚い、白雪姫へ。
『これからね、告白……するの』
——俺は、ちゃんと笑えていただろうか。
fin