第19章 月頼み@岩泉一
「あのガキ共め…」
岩泉は4人の元へ歩いて行った。
眉間にシワが寄っている。少々(?)怒っているようだ。
「ちょ、はじめちゃん…」
岩泉の顔は相当怖い。だが、少年も負けじと強気に言い返した。
「中1だし!ガキじゃないし!」
「高3から見りゃ立派なガキだボゲェ!」
睨み合う2人。2人の形相に、そろそろ周りの人もひそひそ声を立てている。仕方がない。はたから見れば、ガタイのいい男がまだ発育途中の少年をいじめているようなものだ。
やばい、止めねば…!
「はじめちゃん、張り合わないで!その子中学生よ⁉︎」
「あの、すみません!
ほら、つっかかんなバカ!」
凄み合う2人を引き剥がし、美心と少女が声をあげたのは同時だった。
2人は顔を見合わせて笑った。
「…えー、ではでは、私達は退散いたします!リア充はどうぞ地球温暖化を進めてくださいませ〜」
「ちぇ、つまんねーの」
「次、わたあめ」
「えー、あっちになかったっけ?」
少年少女の話し声は段々と遠のいていき、流れ行く人混みに紛れて消えていった。