第3章 冒険へ行こう
カラ松「――そ、そういうことか! 悪かった、次から気をつける」
まぁ、この騒動で尾行してた人は止めたけど、周りの視線は痛いほどグサグサと刺さってる。
あぁ、これだから男の人は苦手なの。
おそ松「カラ松、お前何やってんの?」
ぎろり、とおそ松さんに睨まれて、私の顔の熱は一気に冷めた。
正しくは、後ろにいるカラ松さんを睨んだんだろうけど……、視線的には一緒に私も睨まれてるからね? ね?
でも、その顔つきからして、本気じゃないっていうのはわかるんだけど……、男の人ってやっぱり背は高いし身体はがっしりしてるし、女の子と全然違うから、なんだかわからないから、怖い。
トッティや十四松さんは、そんな雰囲気全然ないもんね。
カラ松「いや、尾行されてたんだ」
それを聞いたおそ松さんは、スッと目を細め、私の手を握った。
おそ松「手、話さないよーにね」
うーん、上のお兄さん達だから、妹を面倒見る感覚なんだろうね。
こういう時に性格って出るものなんだなぁ、とつくづく感心してしまう。
――そうだ、前後に居るのはお兄ちゃん、お兄ちゃん、お兄ちゃん。
異性じゃない、お兄ちゃん。
そう思えば、どうだろう?
結構慣れてきた気も……。
おそ松「ちょーっと失礼するぜー?」
そう言うなり、ニヒルに笑ったおそ松さんに姫抱きされた。
いつもと違う雰囲気なせいで妙にかっこ良く見えちゃう。
や、やや、やっぱりお兄ちゃんって思うの無理ぃ!
慣れるなんて無理ー!!
「うわぁーん、トッティー!!」
慣れないことばっかりで、顔が熱いよー!
だから、男の人苦手なの!
おそ松「はーいはーい、どいたどいたー!」
でも、後ろを見ればまだ人影は追って来てる。
その後ろを走るのは、多数の猫達と一松さん。
この騒動のせいで、人達は皆路地裏に逃げちゃった。
でも、おかげで、動きやすくなったせいか、気づいたトッティ達も応戦し始めた。
「盗賊だー、盗賊だー!!」
――これが、盗賊?
首を傾げているうちに、トッティ達から離れていき、ついたのは路地裏にある小さな民家。
おそ松さんは、躊躇しないで扉を開いた。
すると、そこには武具をきっちり装備した冒険者で溢れている。
しかも、皆お酒を飲んでるし……。