第7章 会合
誠「あんたと話したいことがある」
拓「…奇遇だね、俺もだよ」
「…あ、あの誠、腕離して…」
広い胸から抜け出して藻掻くと誠は、はっと気づいたように私を開放した。
…今わたしのこと絶対忘れてただろ
「って、あれ?深琴くんたちは?」
先程までふたりがいた場所に目をやるとそこには2人の姿がない。
誠「あー・・・あれだな。奥手な見た目の割に手が早いんだな、深琴のやつ」
「へっ!?」
拓「お前の弟だっけ。そりゃそーだろ、コイツに似て手だけは早いと思うぜ」
「ゆ、ゆうなと…?」
目をやるとそこには慌ただしく横切る人々の姿。
私達は道の端に寄っているから幸い通行の邪魔にはなっていない。
そっか……
優菜もいいお年頃だもんね。
いや、決して人のことは言えないんだけどやはり友達がそういう関係に踏み出すというのはなかなか思うところがある。
私はなんとなく明菜との会話を思い出した。