第26章 * 嫉妬 【藤原尊】
うちの彼氏はスト部に在籍中。
写真部に入ったうちは毎日好きなものを撮っている。
彼の走りが輝いてみえるときは自然とシャッターをきっている。
それに加えて風の音がする。
彼はあまり喋らない。
本当に必要最低限のことだけ。
でもね、ストライドのことになると饒舌なの笑。
あっ、練習終わったみたいだ。
うちは教室へと向かう。
練習が終わったあと彼が迎えに来てくれるのだ。
窓際の席に座りオレンジと紺のグラデーションの空を見つめる。
ふふっ、わかりやすいなぁ。
彼の走る音は心地がいい。
尊「菜々海っ!」
貴「そんなに慌てなくても平気だよ、尊。」
彼は少し荒くなった呼吸を整えてこちらに歩み寄る。
そして、優しく唇に触れた。
尊「帰る。」
キスしないのかと心の中で思いつつ彼の後ろについていく。