第4章 インターハイ予選。
1セット目も正念場。青城20-烏野11になったとき、点差に焦りが募りに募った影山くんが普段ならしないのに、月島くんとまさかのコンビミス。悔しそうに唇を噛む影山くんに、思わず胸が痛んだ。
そしてメンバー交代。コート脇にはスガさんが立っていて、持っている札は…9番。
スガさんは影山くんに何か言ってチェンジしたが、影山くんの表情が少しだけ和らいだ気がした。
コートに行くなり全員にカツを入れるスガさん。大丈夫!といつもの笑顔で笑えばみんなもつられてニッ。あ、月島くん以外だよ。
そこからはちょっと違った。スガさんは自分のブロックが抜かれることを予想して、月島くんと位置を変えていたり(これがたぶんAクイック)、戦術の面でみんなを支えている。今度は翔ちゃんとCクイック。烏野の3連続得点により、点差は縮まっていく。
「さっきより流れがスムーズになったな」
『スガさんは影山くんより長くチームの一員として戦っています。だからみんなの癖とかどんなトスが打ちやすいかとか、知ってるんじゃないですかね?』
それはきっと、スガさんだから。
スガさんにしか出来ないバレーだから。
自分のことよりも、チームの勝利を先に考える、優しいスガさんだから。
だから、みんなの顔が生き生きしてるんだ。
結局、1セット目は青城25-烏野15でとられてしまった。それでも、テンションも上がってきたので、いい感じに2セット目に繋げることが出来るだろう。