第4章 インターハイ予選。
スコアに目を遣ると、烏野18-伊達工15で優勢のままだった。ほっと息を吐くが、安心は出来ない。既に1セット目は終盤。何とか堪えて欲しい。
伊達工の二口さんからのサーブ。大地さんがレシーブで崩れるも、田中先輩が翔ちゃんに返球。スパイクをするが、ブロックされてしまう。
落ちる…っ!
その瞬間、西谷先輩が反射で拾った。影山くんがそれを繋げる。前衛の三人、大地さんと田中先輩、翔ちゃんの誰かがスパイクを…誰もがそう思ったときだった。
ズドッ…!
影山くんのトスの先に跳んでいるのは旭さんだった。そして、旭さんが渾身のバックアタックを決める。
他の三人に気を取られていて、伊達工のブロックは一枚も無し。どうぞ打って下さいと言わんばかりの空間が旭さんの目の前に広がっていたのだ。
『やっ、やったぁ~!!』
おめでとう、旭さん!
私は道宮先輩と手を取って喜んだ。コートの中でもヨッシャアァァァ!と狂喜する声が聞こえる。これでますます烏野は勢い付くハズだ。
乗りに乗った烏野は翔ちゃんの良い囮っぷりも会ってか得点を重ね、1セット目を25-19で伊達工からもぎ取った。